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事例2 山梨県N氏別荘
    灯油から夜間電力に代えて年間18万円のコストダウン

 

N氏の別荘は山梨県北斗市清里の森の県営別荘地に有ります。この地帯は標高1000mを超える寒冷地で厳冬期はマイナス20℃を越す事もありますから十分な暖房能力が有る暖房設備が絶対の必需品です。N氏の別荘では20年前の新築時から灯油ボイラを使用した床暖房で厳冬期も快適に過ごして来ました。しかし、灯油のボイラの機能が経年劣化して浴槽加温の機能が故障する様になり、熱源機の大規模な修理か交換の必要が出て来ました。

床暖房の敷設面積と使用状況。

床暖房面積はLDKの20坪と2階の比較的大きい浴場(6坪程度)の洗い場、及び浴場に隣接するリラクゼーションルーム(入浴後の休憩室で6坪程度)です。浴室の洗い場は浴槽分を差引くと約3坪程度が床暖房してあります。

合計で29坪の床暖房は9月頃から7月頃迄は必ず使用していました。

浴槽の大きさは約1,000Lあり、温度が下がった場合の再加熱も必須の機能です。

今後も長く別荘を使用する為に、将来を考えて床暖房、給湯、浴槽加温に十分な機能が有る蓄熱式の電気温水器に交換しました。以下は使用者の談を事務局で纏めたものです。

電気温水器式は遠隔操作(インターネット)が出来て便利です。

「リモートコントロール」と「リモートモニター」。

遠隔地の別荘ですから使用頻度は多く有りませんが、使用する時は完全に暖かくしなければ住めない所ですからそれなりに費用が掛かっていました。それと冬期に別荘を利用する時は寒くて大きな家に入るのは覚悟が必要でしたが、電気温水器に替えてからはインターネットで遠隔操作が出来て暖かい別荘に入れるので快適です。

この遠隔操作は電気温水器の「入り」「切り」と床暖房の「入り」「切り」(リモートコントロール)の他に現在の室温や電気温水器の温度迄が遠隔地でチェック(リモートモニター)ができますから、非常に便利です。現在のインターネットで出来る機能は、電気温水器と室内温度の管理のみですが、先々は遠隔地から別荘の様子もモニター出来る様になると期待しています。

現在の別荘管理はホーム・セキュリティー(セコム)の会社に任せていますが、やはり自分で別荘の内外の様子が分かると更に安心です。電気温水器、室内温度等が遠隔地でリモートモニター出来る現在の機能の上に別荘の内外の状況が遠隔地でモニター出来れば、別荘が今迄以上に身近になると期待しています。

電気温水器の使い勝手はボイラより良い。

それと、従来の灯油式ボイラの時は特別に気にならなかった点ですが、蓄熱式の電気温水器は熱が溜まっているので給湯能力がボイラの比では有りません。

今迄も合計すると6万kcalの能力の給湯能力が有るボイラで、特別に給湯能力に不足感は無かったのですが、蓄熱式の電気温水器にしてからは給湯の圧力や給湯量が断然違います。シャワーの使い勝手も水圧があり湯温も安定して非常に快適になりました。これは予め暖めた大量のお湯を使用するのですから当然の事でした。その結果、1,000Lの浴槽にお湯を張る時間も大幅に短縮して便利になりました、

暖房能力も以前のボイラの時と比べて強力になりました。以前は30,000kcalのボイラで暖房していましたから、ボイラが燃焼し続けても家の中が暖まるには時間がかかりました。蓄熱式の電気温水器に替えてからは暖まる時間が凄く短縮しました。これも給湯能力と同様に大きな熱量が蓄熱されているから30,000kcalのボイラと比べて5倍以上の熱が瞬間的に供給されるからと説明され納得しました。

安全性が何よりも嬉しいことを実感。

寒冷地である事から、夜間の就寝中やちょっとした用事で外出する時や別荘地の友人宅を訪問する時も床暖房は切らずにボイラを運転していました。その様にしなければ再度使用する場合に寒くて耐えられない状態です。ボイラの時は余り気にしていませんでしたが、電気温水器にしてからは危ない事をしていたなと改めて気がつきました。就寝中や、留守の時に燃焼機が使用されていると危険であると言う常識的な事が電気温水器切り替えて実感しています。

夜間電力を利用するとランニングコストは驚く程安くなる。

灯油が異常に値上がりしていますから灯油の分が安くなるのは理解されますが、普通の電灯用の電気料金までが安くなりました。料金は電力会社の電力料金メニューにも依ると思いますが、別荘の所在地の東京電力(株)の例ですと「電化上手」というメニューがありました。このメニューは夜間電力の利用者には非常に有利になっています。上記の様に安全で安心、その上使い勝手も良く快適になりましたが、ランニングコストも驚く程安くなりました。

遠隔操作で留守の別荘を暖めておく事等に代表される、従来以上の熱の豊富な使い方でも年間に180,000円以上のランニングコストの削減(灯油の単価を95円/Lで換算時)は別荘を維持する上で非常に有り難い事です。

日頃がハードなビジネスの世界にいるので、折々に利用する別荘の生活は気分転換に最適ですが、使用するか否かに関わらずに毎月掛かる経費はやはり気が重くなる要素です。維持費が掛かりすぎる為や、別荘に来てから快適な状態になる迄の手間が掛かる煩わしさや、寒さや不便さが理由で別荘を手放す例も近所にあります。今回の改修工事はそれらの煩わしさを殆ど全て解消した様に思います。

電気温水器の容量と設置場所。

電気温水器が安全と言っても無人の別荘の屋外に置くのは不安でした。しかも、蓄熱量の関係でタンクの容量が3,000Lを越えるので一体型のタンクでは設置スペースがありません。そこで分散型にして、5台のタンクをガレージの奥に設置しました。分散型ですから建物の壁の修理用のスペースも取りながらでもスッキリと納まり違和感は有りません。

今回の成果は「オール電化」に拘らなかったので成功したと思います。

この様な事が可能となったのは「オール電化」にこだわらずに熱が不足した場合は従来の灯油のボイラも併用する柔軟な発想のシステムが有ったからです。電気は安全性が高く遠隔操作や無人運転も安心ですが、弱点は温水が暖められていない状態からスタートして沸き上がる迄の時間が掛かる事です。

「急の場合の熱出力」ではやはり灯油やガスには敵(かな)いません。その他にも、来客が大勢来て暖房や給湯をフルに使用したときに熱が不足するようでは困りますし、インターネットの操作を忘れて(又は入れ間違えて)別荘に来てから急に大きな熱量が必要になった場合等には、それから時間をかけて電気温水器のお湯を沸かしていたのでは間に合いません。

その様な際には、従来通りの灯油のボイラが働き暖房や給湯を間に合わせます。従来のボイラは浴槽加温の機能が不具合でしたが、その機能は蓄熱式の電気温水器で賄う為に、大規模な修理が不要でそのまま使えるようになりました。その為、従来のボイラも単純な機能での使用が可能となり灯油とのハイブリッド方式での緊急時用として残しておく事にしました。

この様な設備が備えてあると遠隔地からでも安心して別荘の利用が出来ます。遠隔操作の予約忘れや熱が不足する緊急時用の補助熱源としての灯油ボイラがある事で安心して夜間電力のシステムが採用出来ます。ここでも「オール電化」に拘らない柔軟な発想が活きています。

給湯と暖房の殆ど100%は夜間電力で賄う。

オール電化に拘らずに灯油も併用するシステムですが、実際の使用に当たっては殆ど夜間電力のみで賄います。灯油は遠隔操作で電気温水器の入力を忘れた時や、入力を間違えた際の緊急用と、大勢が使用して万一お湯が足りなくなった時の予備です。普通に使用していれば殆ど100%は夜間電力で間に合います。これにより、今迄大量な灯油を使用していた際のCO2の排出も著しく減少する事になりました。

別荘には環境に関心が有る人も多いのですが、今回の熱源の変更が環境の改善に貢献している事もお知らせしたいと考えています。

電力の凄さと有り難さを実感。

最後になりましたが、電力会社(東京電力(株))の供給体制には感謝しています。

清里の森と言うのは山梨県営の別荘地ですが殆どが森林で別荘はポツポツと点在する状況です。別荘の住人にはその閑静な環境が有り難いのですが、電力会社ではその住人(消費者)が幾らも居ない僻地に大きな容量の夜間電力用の大規模な配線施設をしてくれました。その上で更に別荘の前に高い柱を立てて大型の避雷設備も設置していました。これらは他のエネルギー企業ならとても出来ない事と思いました。その上で、「電化上手」の電力料金メニューで大幅な節約が可能となりました事は消費者に取っては非常に有り難い事です。

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