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事例1 千葉県N氏
    床暖房の熱源を灯油から夜間電力に変更

 

千葉県いすみ市の大原台のゴルフ場に隣接するN氏邸は灯油ボイラを使用する床暖房を20年近く使用していました。いすみ市大原台は、以前は大原町と言っていた地域で、南房総の温暖な所です。しかし、N氏のお宅では寒い期間を快適に過ごす為に、住宅の一階部分は全てのスペースを24時間常に床暖房を使用しています。その上、浴槽も大きく何時でも入浴出来る様に適温を保つシステムを使用していますから、一般の住宅としては灯油の消費量が4,151L/年と多く掛かっていました。従来は灯油も安かったのでランニングコストも気になりませんでした。

床暖房の敷設面積と使用状況

建物の延べ床面積は約80坪程度ですが、その内の50坪を越える面積に床暖房が敷設してあります。その50坪の床暖房の敷設面積の内で、40坪程度の面積は冬期には常時(24時間)暖房しています。床暖房が敷設してある所で、現在使用しないスペースは以前子供さんが使用していて今は空き部屋になっている2階の子供室等で、家族が日常的に出入りするスペースは書斎や客間も含めて全て暖房しています。これは外国生活が長いN氏の考えで、住まいの中に温度差が有るとヒートショックが起きて健康に良くないとの考えに依るものです。

その他に給湯と浴槽加温までを灯油のボイラで賄っていますから、その当時の灯油の単価(51円/L)でも年間に20万円を越えるランニングコストでした。夜間電力に熱源変更の工事をした当時(平成15年)の灯油の単価は現在より大幅に安かったのですが、その当時でも夜間電力との比較で年間に69,259円のメリットがでました。現在の灯油の単価95円/Lで換算すると実に25万円以上のメリットになります。

N氏が夜間電力に熱源を変更する理由は近隣の住人に対する配慮から

N氏宅のある大原台は大きなゴルフ場に隣接するリゾート風の広い敷地に家が点在する広々とした所です。伊勢エビが日本で一番水揚げされる事で有名な大原漁港や岩船、御宿等の漁港も近く、温暖な気候と風光明媚な土地柄から高級別荘地として開発された地域ですが、住みやすい為か今では常住する人の方が多くなりました。その地域の住宅は隣家と言っても全て30m位は離れているのですが、時には風向きに依って灯油の燃焼する臭いが隣家の敷地方向に流れる可能性があると言うのが灯油から夜間電力に熱源変換する最大の理由でした。N氏の考えは折角、風光明媚な環境で快適に生活している人達に、灯油の臭い等で不愉快な思いをさせては申し訳が無いとの事でした。

結果的に熱源の変換は大成功でした

今から5年前の2003年(平成15年)当時の灯油の単価は51円/Lでしたが、その後は急激に灯油の価格が上昇して現在(平成20年)では95円/L位が相場になって来ました。N氏もその件では先見の明が有ったと話しておられます。平成15年当時も夜間電力に熱源を変更する工事は相当の金額が必要でした。しかし、N氏は今では「最初は人の為と考えてやった事が廻り回って我が為となる良い見本だ」と喜んでおります。

当時の51円/Lの段階でも年間に灯油と比較して7万円/年程度安くなっていますから、ランニングコストの上では灯油が更に安かった1Lが35円の時代と変わりません。その上、夜間電力を使用する事により、近隣の環境にも貢献して居ると共にCO2の排出が減り、地球環境にも貢献しています。

N氏邸は図らずも「オール電化」になりました

N氏は以前、大手航空会社の経営するホテルの社長でしたが、その前の航空会社の幹部としての海外生活やそれ以前のパイロットの時代も含めると外国生活の方が長かった様です。その様な海外生活の経験から厨房のレンジや食器洗浄機等を始めとして冷蔵庫や衣類の乾燥器まで全て電化機器を採用しておりました。その電化の機器も能力が大きい外国製の大型の機器が導入されていた為に、電気料金も多額のものでした。

そこで、床暖房と給湯、浴槽加温の熱源を灯油から夜間電力に変更する際に、電力料金のメニューも「電化上手」に変更しました。電化上手は東京電力(株)の電力料金のメニューでこの様な場合には非常にメリットが有ります。「電化上手」は東京電力(株)の愛称で、正式には「季節別時間帯別電灯契約」と言う長い名前の電力料金のメニューです。

正式名称が示す様に「季節」と「時間帯」に依り電力料金が変わります。夜間の8時間(23時〜朝の7時迄の8時間)は全ての電化機器に夜間の料金が適用されるため、大型の食洗器や乾燥器には好都合です。その他の時間帯にも割引が適用されます。調理を行う時間帯の朝の7時〜10時迄と夕方の5時〜23時迄の9時間も従来より低額に電気料金が設定されています。

注意を要するのは、朝の11時〜夕方の5時迄の7時間が割高になっています。この時間帯に大きな電力消費が無い様に工夫をする事で大きな節約になります。先に述べました様に「電化上手」は東京電力(株)の愛称ですが、他の電力会社でも割引率は変わっても類似のメニューが用意されています。この電力料金メニューにより、灯油代金の分が夜間電力に代替された効果と、「電化上手」のメニューに変更した際の電灯料金(従量電灯)の削減効果の相乗効果で上記の25万円/年間と言う大きな効果が出ました。

当然に東京電力(株)のオール電化割引も適用されて更にN氏は喜んでいます。

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