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事例6 茨城県F氏宅 
    エコキュートでのトラブル

 

この事例は茨城県稲敷郡河内町のF氏の住宅の例です。

F氏の住宅は大手のハウスメーカーS社の鉄骨構造の2階建ての住宅です。床暖房は平成5年の新築時に採用して当初は灯油ボイラを使用していました。S社の建築とは言え平成5年頃の規格ですから、断熱は当時の規格です。灯油のボイラが壊れたので省エネと評判のエコキュートの床暖房を検討してみました。

M社のエコキュートとの比較

しかしエコキュートでは長い時間の床暖房は無理と言われたので、大手の電機メーカーのヒートポンプ式の床暖房を検討しました。8坪を24時間暖房するのを条件でヒートポンプ式と夜間電力利用の温水蓄熱式の双方で検討してみました。

ランニングコスト計算の条件はF氏の住宅を例にして8坪の面積を24時間の暖房をした場合です。暖房期間は11月から4月一杯まで正味6ヶ月暖房した場合を例にしました。これに対して現在最も宣伝に力が入っていると推察できる、大手電機メーカーのM社のヒートポンプ式床暖房を比較してみます。

M社のカタログ上の数値ですが30畳(15坪)を10時間暖房できるとされています。このカタログ上では15坪の暖房面積の内の70%の敷込率ですから実質的には10.5坪です。その時のランニングコストが27,000円(1シーズン139日として)。この段階で既に1日に10時間の暖房ではF氏の要望の24時間暖房の希望には適合しませんが、それはそれとしてランニングコストを比較する上で設計条件を整えてみました。このM社のカタログの例では15坪を10時間暖房した例が記載されているので、能力を比べる上で換算すると、15坪を10時間暖房するのは、150坪を1時間暖房するに総量では等しくなります。これに対して8坪を24時間暖房する場合は、8坪×24時間=192坪・時間です。

150坪・時間(ヒートポンプ式)と192坪・時間(電気温水器式)の比率は電気温水器式の床暖房がヒートポンプ式の1.28 倍です。

比較する為に、電気温水器式の年間のランニングコストを1.28で割りますと暖房する面積と時間の条件が同じになります。使用する電力料金に電化上手のメニューに依る割引制度を加味すると、この結果は18,919円/年となります。この数値をM社のカタログの条件と同じにした場合での計算では8,441円/年となります。

M社の東京地区15坪を10時間暖房した数値が27,000円/年と比較すると、年間で18,559円のコストダウンです。比率にするとM社のカタログ上の数値との比率は0.3126です。つまり、ヒートポンプ式の31.26%で、68.73%のコストダウンになります。

電気温水器の方が有利

この様に電気温水器の蓄熱式は今一番経済的とされるヒートポンプ式よりランニングコストが断然安い事が証明されました。その他にも床暖房の広さや暖房時間に制約が無く、しかも騒音も無く、耐久性が長い為に温水蓄熱式が有利であると言えます。

耐用年数は電力会社関係のリース会社でも、ヒートポンプ式のリース期間が最長で10年とされ、電気温水器式のリース期間が15年です。この事からでもヒートポンプより夜間電力を利用した電気温水器の耐久性能が高いことが証明されます。このF氏の住宅の現場も詳細に検討した結果、電気温水器が採用されました。

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