グランドデザイン(基幹設計)上で
効果を上げる為のヒント

グランドデザインコンテスト(システムの部)の評価基準

テーマ:経済性を満足した
    
「環境好適・安心安全で快適な建築と施設」

「新電化時代」・・・時代は「単一のエネルギ−のオール電化」から「環境共生の新電化時代」に進歩しています。

本評価基準の要点(「通常のオール電化」と比較して優れているところを評価します)


※この場合の「通常のオール電化」とは次の(1)〜(4)で示すシステムを言います。

(1)調理はIHクッキングヒーター。

(2)エコキュウトー(炭酸ガス熱媒のヒートポンプ式小型給湯機)エコキュウトーでの給湯、浴槽加温等の際の耐久性能や利便性の検証と、小規模で短時間しか床暖房が使用できない等の特徴を持つ現状のエコキュートーシステムとの比較を示す。

(3)空調は一般的な(非蓄熱)エアコンの使用。

(4)その他に電気ヒーター埋設式床暖房、又は電気ヒーター敷設式の床暖房や蓄熱式暖房機等を設置する例との比較を示します。


I 良い建築の基本的な条件


 経済性の算出例(耐久性能がキーワードです)
 (初期の設備費用+年間の燃料等の使用費用やメンテナンス費用の合計金額×耐用年数に対して、使用できる年数(耐用年数期間)の全経済効果の差引がプラスである事)

例えば初期投資が2,000,000円のソーラー発電で仮定した場合、ソーラー発電装置の耐用年数を15年と仮定し、年間のメンテナンス費用を平均5,000円/年と仮定して計算します。2,000,000円の設備費用と15年間で75,000円のメンテナンス費用に対して、ソーラー発電の経済効果は一時間に3kWとして年間の発電量を3,000kWとしますと15年間の発電量の45,000kWとなります。設備費とメンテナンス料金の合計が15年間で2,075,000円に対して発電量の総合計が45,000kWですから2,075,000円÷45,000kW=約46円/kWとなります。

 ここで大事な事は「耐用年数」です。上の例ではソーラー発電の耐用年数を一般的に言われている15年で計算しましたが、 仮に耐用年数を20年で計算しますと2,000,000円(初期投資)+100,000円(20年間のメンテナンス費用)=2,010,000円これに対して発電量の合計は3,000kW/年×20年=60,000kWとなります。

 この場合は2,010,000円÷60,000kW=33.5円/kWとなります。

この様に耐用年数が長くなると経済性は増加します。採用時では正確な耐用年数は不明ですから、メーカーの耐用年数の保証等が必要になります。その他に環境好適、安心安全で快適性の面でコンテストでは得点が加算される具体的な項目。


 これらの部門は全部で10項目有りコンテストのゴールドメンバー賞では合計で10点が加算されます。

1.電力負荷の平準化(電力負荷の平準化は社会的な要請であると共に経済的な効果も大きい) 
 昼の電力使用量の削減と夜間電力の有効利用(夜間と昼の使用比率で夜間が50%以上の例)

2.CO2の削減は今や環境問題の主要テーマです。
 CO2の削減量(夜間電力の利用、新エネルギ−利用、バイオマスエネルギー利用等に依る)
  昼間電力のCO2排出量を0.5kg/kW、夜間電力のCO2排出量を0.2kg/kW(概算値)として換算して削減比率を算出して下さい。通常のオール電化との比較で20%以上が目安。

3.床暖房技術の有効利用(省エネルギーと経済性、快適性の確保の上で必須の項目です)


 経済性に優れ、健康的で快適な床暖房の利用(床暖房の敷設面積が居室全体の50%以上の例)

(1)床下パネル部の耐久性:床暖房パネルの耐久性は30年以上、コンクリート造の部分は60年以上の耐久性を有する保証があるもの。保証に関しては全てメーカーの保証書の発行が有るもの。(以下同じ)

(2)熱源機械部の耐久性 :熱源機械部の耐用年数はフルメンテナンス制度等で20年以上の耐用年数の保証が有るもの。
業務用は30年以上のフルメンテナンスを保証されているもの。

(3)ランニングコストの保証:エアコン暖房等との比較で50%以下のランニングコストの保証が有るもの。


以上の(1)〜(3)までの特性を備えている床暖房システムは評価の対象となります。


 
4.蓄熱式の熱システムは躯体蓄熱や土壌蓄熱に対して利便性と経済性が高い。
 個別制御が可能な蓄熱タンク式熱システムの採用例(床暖房、暖房、冷房、給湯等)
熱システム全体が20年以上のフルメンテナンス制度が完備しているもの。

5.コージェネ(熱電併給)、ソーラー発電等の有効利用
 (この項は経済的な問題がテーマ。発電のコストは電力供給のみの場合は25円/kW以下 である事が重要。費用対効果と耐用年数等)

6.バイオマスエネルギーの有効利用
(この項は使用例ごとに「費用対効果」を記述して下さい)
使用例(1)給湯、(2)床暖房、(3)浴槽加温、(4)サウナ・岩盤浴等、(5)冷房、(6)発電、(7)その他
 上記の中で3項目以上の利用の場合はバイオマスエネルギーの有効利用と判断されます。

7.冷房負荷の低減対策(通風等の工夫以外の対策例がありましたら列記して下さい)
樹木の緑陰利用、屋上緑化、水の潜熱利用、特殊な断熱上の工夫等で特に優れている例。

8.災害時の対策((1)停電対策、(2)断水時、ガス遮断時等のライフラインの確保の対策)


9.オール電化の時間帯の有無(就寝時、幼児や高齢者のみの在宅時、留守の際の対策等)

10.フレームセラピー(炎に依るいやし)効果等に依る「癒しの空間」の創造の有無。
薪焚きの暖炉、薪ストーブや薪炭を燃焼させる囲炉裏等。
但し、電光に依る模擬暖炉やストーブ及びガスストーブやガス焚き暖炉等は対象外です。


II 新エネルギ−等の積極的な利用例。


 この部門は同コンテストでは1点が加算される。


(利用例)

例1水力のエネルギ−利用、
例2風力のエネルギ−利用、
例3温泉熱のエネルギ−利用、
例4地熱のエネルギ−利用
例5バイオマスエネルギー利用のスターリングエンジン等の再生可能なエネルギーの利用の有無。


 これ等のエネルギ−利用は敢て発電に利用するばかりでなく、水車や風車で知られている様な従来からの色々な知恵が役立つと思います。それらの事例と費用対効果を評価します。

 


III 廃棄物処理の環境に与える負荷と
 処理コストに配慮した優秀な作品例。


 この部門はコンテストでは1点が加算される。


畳等は化成品の畳は処理費用もかさみますし、処理に依る環境負荷も多くなります。何よりも火災等の折に、有毒なガスの発生する危険性もあり避けたい所です。本物の藁(わら)床の畳は少し金額が張りますが使用勝手も良く耐久性もあります。何よりも廃棄処理しても環境負荷が少なく当然に処理コストも安価です。

床暖房パネルの素材がポリエチレン等の化成品の場合は耐用年数も少なく廃棄処理にも費用が掛かり、環境的な負荷も増加します。断熱材も重要な建築資材ですが、火災の際の有毒ガスの発生や廃棄処理の費用も考慮して自然素材の使用が望ましい。

ボイラ、給湯機、タンク類も素材により廃棄する際のコストに大きな差が有ります。
鉄製や磁石に働くステンレスは交換や廃棄する際に大きな支払費用が発生します。

それに対して、銅製やSUS304規格のステンレス等は廃品回収業者が引き取る際の引取金額が大きく(貰える金額が大きく)結果的にはコストに大きな差が付きます。

以上の様な観点から目先のコストに惑わされない長期的な視野に立つ賢明な選択が重要になります。