天城高原の家
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■作品名 天城高原の家
■所在地 静岡県伊東市
■用 途 住宅
■設計・施工 住友林業(株)
■熱システム 富士プラント・アルコ(株)
■応募者(施主) 山本 高博
木造2階建て
延べ床面積 214.4平方m(65坪)
夜間電力利用の温水蓄熱式床暖房、給湯、温泉加温熱システム
床暖房の敷設面積:198平方m(60坪)
夜間電力契約容量:44kW(単相200V)
1.オール電化住宅に多機能暖炉を設置して大幅なCO2の削減に成功。
標高1000mの建築所在地は伊東市と言う温暖な地域では考えられない気候です。
その為に年間を通じて床暖房は必要です。
又、温泉も引き込まれていますが搬送距離が長い為に冷却されて加温しなければ使用は出来ない状況です。
その様な立地から夜間電力を主体にした熱システムを採用し、オール電化の生活を営んでいおりました。
暖炉を採用する前の電力消費量(夜間電力と昼間電力の使用比率)は
夜間電力:80%
昼間電力:20%
と言う状況でした。
2.多機能暖炉を使用するバイオマスエネルギー(薪)で全エネルギ−の35%を賄う。
伊東市周辺で産出される木材を殆ど謝礼程度で調達する事により、非常に割安なエネルギー で電力消費量が大幅に削減できました。
全エネルギーに対するバイオマス(薪)の代替比率は夜間電力80%の内の30%分を削減しまし た。昼間電力20%の内の5%程度が薪で補える事になりました。
評価 項目(システムに対する一般的な項目は(1)〜(10)迄で、(11)〜(12)は特記事項です)
[◎は特に優れている ○は一般的な評価です。]
評価 |
項目 |
◎ |
(1)電力の平準化(総電力消費量45,360kW、内夜間電力消費比率87%) ■暖炉採用後は夜間電力:昼間電力:バイオマスの比率=50%:15%:35% |
◎ |
(2)CO2の削減量: ■15,408kg/年 |
◎ |
(3)現代建築の必須事項である床暖房の耐久性と経済性の保証の検討。 (a)建築の床面積に対する床暖房敷設面積の比率:90%以上。 |
◎ |
(4)蓄熱方式は個別制御が可能なタンク蓄熱式であり、暖房、給湯、温泉加温の熱源機は30年のフルメンテナンスの保証が有る。 |
○ |
(5)当該建築はコージェネ、ソーラーの利用は無し。 |
◎ |
(6)バイオマスのエネルギ−利用は床暖房、給湯、調理、温泉加温等で多岐に亘る。 |
○ |
(7)冷房のコストは立地が寒冷地である事により殆ど掛からない。 |
◎ |
(8)災害時対策: ■断水時は蓄熱タンクの水量2,000?で対応。 |
◎ |
(9)無管理状態の際の安全性の確保: ■就寝中や幼児、老人のみが在宅する場合、更に留守の際の安全対策は燃焼を伴わないオール電化で対応。 |
◎ |
(10)薪焚きの暖炉に依るフレームセラピーの快適空間が完備している。 |
◎ |
(11)多機能暖炉により製炭や陶芸、薫製等でバイオマスエネルギーの有効な利用。 |
◎ |
(12)シックハウスと廃棄物処理の対策: ■床、壁、天井は天然素材を使用。 |
[結 論]
◎は特に優れていると評価された項目で10項目有ります。
○は一般的な評価の項目で2項目です。
以上の総合的な観点から長期間の耐用年数と共に「経済的」で
「環境に好適」で「快適性」に優れた建築と判断されます。
評価協力:グランドデザイン・コンテスト技術事務局
富士プラント・アルコ(株)技術部 篠崎・劉/他