CHELL288ビル
画像をクリックするとPDFが見られます。
■作品名 CHELL288ビル
■所在地 東京都港区赤坂
■設 計 株式会社 坂倉アトリエ
■用 途 ギャラリー、事務所併用住宅
■施 工 株式会社 竹中工務店
■内 設備 三建設備工業株式会社
■冷熱システム 富士プラント・アルコ(株)
■応募者 施主、(設計)株式会社坂倉アトリエ、
(施工)株式会社竹中工務店の3社応募
■鉄筋コンクリート造 地上3階、地下1階建て
■延べ床面積 792平方m(240坪)
■夜間電力利用の氷蓄熱式熱システム【ヒートサイクル】
■冷暖房・給湯・プール・浴槽加温
■床暖房の面積 :660平方m(200坪)
■冷暖房・給湯用電力容量(低圧蓄熱調整契約) 25kW(3相200V)
1. 冷・暖房、給湯、プール加温に【氷蓄熱ヒートポンプ】を利用し経済性と快適性を実現。
ヒートポンプを利用しての蓄熱システムであるため冷熱と温熱が同時に創れます。その為に同一のエネルギ−で同時に頭上の冷房と床下の暖房が運転可能です。同時に冷熱と温熱が創られると言う事は、冷房や暖房の中間期では夜間の給湯の際に創られる冷熱で日中の冷房が可能と成ります。
反対に日中の冷房の為に創られる温熱で朝晩の床暖房や給湯の温熱が賄えますから快適であると共に非常に経済的です。
冷暖房や給湯、プール等で年間を通じて使用する為にヒートポンプの耐用年数は7年〜10年程度と比較的に短いがその経済性から30年間の長期使用に対応するフルメンテナンス制度に加入する事が可能と成る。
2. 比較的大きな建築でありながら、【蓄熱方式】でキュービックルの設置を避ける事が出来た。
蓄熱式である事により電気容量が低減できて「キュービックル」の設置が避けられました。ビルの大きさからは一般的には「キュービックル」が当然に必要な規模では有りますが、電力会社のご担当者との詳しい打合せの上でピーク電力が削減できてキュービックルの設置が避けられた点は設備費用も然ることながら長期的なメンテナンス費用の面からの経済的な効果は非常に大きいと判断されます。
評価 項目(システムに対する一般的な項目は(1)〜(10)迄で、(11)〜(12)は特記事項です)
[◎は特に優れている ○は一般的な評価です。]
評価 |
項目 |
◎ |
(1)氷蓄熱式【ヒートサイクル】の利用で電力の平準化(夜間70%)の社会的な貢献と共に非蓄熱方式の一般的な方式と比較して650,000円以上のランニングコスト削減効果がある。 ■蓄熱用夜間電力消費量は 21,900kW/年間(70%) |
◎ |
(2)CO2の削減量:43.012kg/年 ■夜間電力のCO2発生量を0.2kg/kW、昼間電力のCO2を0.5kg/kWとして計算すると全てを昼間電力使用の場合と比較して43,012kg/年間のCO2の削減が実現する。 |
◎ |
(3)現代建築の必須事項である床暖房の耐久性と経済性の保証の検討 (a)建物の床面積に対する床暖房の敷設面積の比率:85% |
◎ |
(4)蓄熱方式は個別制御が可能なタンク蓄熱式であり、冷暖房、給湯、プール加温等の熱源機器は30年間のフルメンテナンスの保証がある。 |
○ |
(5)当該建築に於いてはコージュエネ、ソーラーの利用は無し。 |
○ |
(6)当該建築に於いてはバイオマスエネルギーの利用等は無し。 |
◎ |
(7)房コストは夜間電力を利用する氷蓄熱方式で対応して約60%の低減。 |
◎ |
(8)災害時対策: ■断水は4,000L×2槽の蓄熱タンクの水が利用できる。 |
◎ |
(9)無管理状態の際の安全性の確保: ■就寝中や幼児や老人のみが在宅する場合、更に留守の際の安全対策は燃焼等を伴わないオール電化で対応。 |
○ |
(10)薪焚きの暖炉に依るフレームセラピー効果等は無いが、観賞用のガス暖炉がある。 |
○ |
(11)新エネルギ−等の利用に対して斬新的なエネルギ−利用は特に無い。 |
◎ |
(12)シックハウスと廃棄物処理の対策: ■床、壁、天井等の内装は天然素材。床暖房パネルや循環パイプ等も全て銅及びステンレス等の耐久性の有る金属製。畳も天然の藁床を使用した本畳(裏ビニール張り等無し)。 |
[結 論]
◎は特に優れていると評価された項目で8項目有ります。
○は一般的な評価の項目で4項目です。
以上の総合的な観点から長期間の耐用年数と共に「経済的」で
「環境に好適」で「快適性」に優れた建築と判断されます。
評価協力:グランドデザイン・コンテスト技術事務局
富士プラント・アルコ(株)技術部 篠崎・劉/他